《MUMEI》 ‐茉莉‐新木は‥ずっと後ろ向いたままやけど‥何を考えとんねやろ‥。 しゃがむのに疲れてきたから‥ 立ち上がって少し浜辺を歩いてみる。 今ここにおるんはウチとあいつの2人だけ。 他には誰もいーひん。 それが逆に近付き辛くて‥ なかなか側に行かれへん。 足元に転がっとる貝殻を拾っては── ただそれを見つめて溜め息を漏らすばかり。 「──退屈‥?」 その声で顔を上げた。 新木がこっちを振り向いてちょっぴり困ったみたいに笑うとる。 「──来る?」 「‥ぇ、ぇ‥?」 いきなり言われて戸惑うた。 前へ |次へ |
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