《MUMEI》 新木は時々遠い目をして水平線を見つめとる。 「──夕方も綺麗なんだ」 「夕方‥?」 「だんだん太陽が沈んでいくと──海が金色に光って‥」 「───────」 「コサカ‥?」 「ぇ‥っ、ぁ、ご‥ごめんっウチ‥」 慌てて言うたら‥ 新木はまたちょっとだけ笑うて海の方に向き直った。 何でかあんまり長居しとると悪いような気ぃして‥ 「ぁ‥、じゃあウチ、そろそろ帰るな」 そない言うて海岸を引き返した。 いつか一緒に夕陽見れるとええなぁなんて── そんな事を思いながら。 前へ |次へ |
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