《MUMEI》
偽り
「…ただいま」


結局蓮翔ちゃんの家に泊めて貰えなかった俺は、
渋々自宅へ帰宅した。


父さんは…
やはり御立腹のようだ。

リビングには、
夜だというのにソファに座ってじっとしている父さんの姿があった。


それだけに、かなりの威圧感を感じる……。


取りあえず謝ろうと思い、
リビングへ入ると、


「何処に行っていた」


凄みを効かせた低い声が聞こえた。


…かなりキレてるな……。


俺は咄嗟に、


「いえ…
いつもとコースを変えて走っていました。」


嘘をついた。


「…それは本当か…?」


「…はい」


「…それならいい。」


「はい…」


俺はこの日、父さんに二度目の嘘をついてしまった。


その場凌ぎだったとしても、
この嘘はこれから先どう転ぶか、
この時の俺は全く知らなかった。


いや、大体は想像していた。


ある程度の覚悟が必要だと……。

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