《MUMEI》

次の日の朝……


日課となっているジョギングをこなすと、
自宅のポストへ手を掛けた。


新聞を取って、リビングへ戻る。


そうして、
トーストに齧り付きながら新聞に目を落とすと、
ある箇所に顔が硬直してしまった。


何故なら、
その箇所には馬鹿でかく蓮翔ちゃんと、
俺の姿が載っていたから。


しかし、問題はそれだけではない。


俺と蓮翔ちゃんが写し出されている背景は、
……観客席。


つまり、俺は父さんがもっとも嫌う一般人……と一緒に載っていたのだ。


……このことを父さんに知られたら……。


俺は堪らず新聞を掴むと、
逃げるように家を飛び出した。





学校の前まで半ば全力で走って着くと、
門の前で手を振っている長身の男が立っていた。

…ん……俺?


良く見ると、男は俺に向かって手を振っているみたいだ。


この場から俺よりも背が高いと伺えるところから、
蓮翔ちゃんではない。


それじゃあ…一体……。


警戒しながら近付いて行くと、


「そんな…あからさまに警戒せんでえぇやんか。」


この声……。


「賢ちゃんか。」

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