《MUMEI》

『でも──報酬って?』

『アンリ様は何もしなくて宜しいのです。夜、頂きに上がります』

『夜‥?』

ぽかんとして訊き返すアンリ様に‥僕は打ち明けました。

『すみません、僕が只の執事では無いのを‥まだ言っていませんでしたね』

『ぇ‥』

アンリ様が唖然とされたのは言うまでもありません。

ですが、僕は本当に只の執事では無いんです。

『僕は──‥ヴァンパイアなんです』

ヴァンパイアといっても──半吸血鬼なんですけどね。

ですから昼間も、こうして人間のように振る舞っていられるんです。

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