《MUMEI》
真の名
「だが、お主はまだ王家の血を受け継ぐ者ではあるが、
王家の者ではない。」


「どう言う意味ですか?」


「儀式を受けなければならぬ。」


「儀式?」


あ、もしかしてセビアとダルクが言っていたことかな?


「うむ。
……しかしまだ無理だ。」


「…何故ですか?」


「お主はまだこの世界に来たばかりであろう?」

「…はい。」


「知識が足りなさすぎるのだ。

そして経験もな。」


「経験?」


「まさか…
あの養成所へ行かせる御つもりですか?」


今まで黙って膝まついていたグレイドが、
驚いて声を上げた。


セビアとダルクも、
不安げにシーフォードを見つめている。


「…ダルク。」


シーフォードが静かにそう言うと、
ダルクはハッとしたように立ち上がった。


「は!」


返事を返して、
俺に近付くと、


「失礼します。」


そう言って俺の翼に手を添えた。


そうすると、
ダルクの手が紫色に光り、
同時に俺の翼も紫色に包まれた。


「これで、何とか誤魔化せるであろう?」


シーフォードの言葉と共に、
俺の翼はグレイドやセビア、ダルクと同じ翼になっていた。

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