《MUMEI》

怪しげな男……
賢ちゃんだった。


「なんだ。」


「なんだとはなんや!」


怒り肩をしながら不平を言う賢ちゃんに吹き出してしまった。


「な、何?」


意外だったのだろうか?


賢ちゃんは間の抜けた声を返してきた。


「いや、その格好は無いだろ。」


賢ちゃんはジーンズに革ジャン、
頭にはサングラスといった出で立ちで、
首には小シャレたネックレスがぶら下がっている。


傍から見れば、暴走族。


そう呼ぶに相応しい。


「これ、俺の普段着やねん。」


「…マジかよ。」


「おう!
この革ジャン、
かったばかりやけん一番に颯ちゃんに見せたくなってん!」


「…確かに…。
凄いな。」


「せやろ?
ヨーロッパ巡りした時買ったっちゃん!」


どんだけ金持ちなんだコイツ。


「てか、しゃべり方。」


「うん?」


「福岡と大阪と東京混ぜるな!」


「へ?」


「“へ?”じゃねーよ。
マジ頭混乱すんだからな!!」


「わりぃわりぃ!
じゃあ…今日は福岡の気分〜!!」


そう言って賢ちゃんはおどけて見せた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫