《MUMEI》
関係 6
教室の前には、各クラスの振り分けが書いてあった。中学の時から代わり映えしない名前ばかりだと思いながら、尚之は自分のクラスを確認した。自分のクラスが3組であることを確認し、次ははるかの名前を探した。
「はるかは1組か。」
「うん。離れちゃったね。」
「んなもん関係ねえって。同じ学校なんだから。好きな時に逢いに来いよ。」
「わかった。ありがと。」
ふと、何気無しに1組の名簿に目を通した。やはり殆どが知った名前だった。
しかし、その中に聞き覚えのない名前があった。
――戸田弘一。
どんな奴なんだろうな。少し気にしながら、尚之は歩き出した。はるかに「どこ行くの?」と聞かれ、右手を挙げて指を二本立てて見せた。
「見つかるなよ。」と少し生意気な口調のはるかの忠告に、挙げた右手をひらひらさせて答え、ポケットの中のマルボロメンソールを握りしめながらトイレへと向かった。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫