《MUMEI》
肩に床ではない、別の物が付着した。
バチン
異物が肌で跳ねた、
静電気、気持ち悪い。
予定時間より早く終わったのかと口を開こうとした。
………微かに違う匂い。
葉っぱみたいな、自然みたいな。
何かチガウモノが俺を胸に抱き寄せている。
鳥肌が立つ。
我慢する必要は無い。
汚い、汚い、
退けろ!
汚らわしい!
名前を聞いてきた。
きっと可哀相な人間だ。
名前なんて、人が持たなければ生きていけない、と勝手に定義した幻想だから。
名前なんか無くても生きてはいける。
つまりは、そんな愚問に答える暇は毛頭ないと。
に、したって、
俺にまだ触れているなんて図々しい。
俺が自分から離れないのは、きっと、
そこまで俺が動く必要性がない程微小な生物だから、
離れたくないからなんて
嘘。
嘘。
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