《MUMEI》 コスプレ「ほら、全然普通でしょ?」 校内に入ると、志貴はそう話しかけてきた。 「『明皇の生徒だったら』な」 校門付近はそうでも無かったが、校舎内に入ると、様々なコスプレの生徒達が溢れていた。 浴衣はもちろん メイド・ホスト・執事 (暑そうだな) 着ぐるみの生徒もいた。 「柊のクラス、何?」 「お化け屋敷だけど、柊は生徒会の仕事あるからいないって」 パンフレットを見ながら、志貴と希先輩は話に夢中だった。 …それがいけなかった。 ドンッ 「「あ…」」 志貴と、希先輩がぶつかったのは 「うわ、可愛いじゃん」 「こっちは美人だし」 絵に書いたような、二人組のチンピラだった。 「こんなガキ共ほっといて、お兄さん達と遊ぼう?」 「お金いっぱい持ってるよ〜?」 (酔ってんな、絶対) 二人は顔が赤く、酒臭かった。 「んん〜? 君、男? 女?」 不意に、一人が俺に関心を示した。 「脱がせてみればわかるかもよ?」 もう一人が、下品な笑い声を上げた。 その時だった。 「何してるんだ?」 「ヒィ!」 現れた柊を見た途端、二人が一目散に逃げ出した。 前へ |次へ |
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