《MUMEI》

「なんであんな事言った?」
「ン、」
結局ベッドの上で慰めだして。撫でたりキスをしたり抱きしめたり。
何時もの日高だったら悔しがって腹をたてて終わる内容の事だったろう。
だけど今はすっかり俺にメロメロになっている。
人はどうしてか恋をすると弱くなる。

俺もそう。

この温もりから離れるのが怖い。始まったばかりだからこそ一緒に居たくて堪らない。


「俺には日高が居る、ピアスは日高じゃない」
「……でもあげたかった」
「穴あけてまで喜んでンでつけるなんて普通ねーぞ?しかも兄弟でなんてさ、
喜んでくれてやれよ、な?」
ぐずる鼻の頭を中指で擽るとちょっと納得いかないながらも小さく頷いた…みたいな…。



「まこちゃんのせいで兄貴にバレてた〜」
膨れた頬をつっつきながら言い返す。

「だって日高、くわえさせてた俺のパンツ途中でぶん投げるから」
「だってあれめちゃめちゃ苦しかったンだからしょうがねーじゃん」
「は、吹っ切れた様にでっかい声で喘ぎだしたからもう気にしねーのかなぁと思って、つか日高、もっともっとって腰に脚巻きつけてくるしわざと締め付けてくるし激しいんだもん、思わず夢中になっちまったよ」

「だって〜……途中から訳わかんなくなったんだもん…」

ぎゅうぎゅうきつく抱きしめて、耳元に囁く。

「これからはホテルでしよ?声幾らでも出せるし」
「う〜………でも高いじゃん…」
「大丈夫だよ、俺バイトしてるしちょっとは余裕あるから」
「う〜ん………」



暫くそのままでいて、日高はぽつりと言った。


「俺熱ある」


「は?へ?」
慌てて額に手を翳す。しかしなんともなさそうな温もりで…

「だから、今日は、休み!学校行けない、無理、看病して!傍に居て!!」

少し赤い顔をして照れくさそうな日高。あ〜やばい、幾らでも欲しくなる。


「………酷い熱だ、その方がいい…」

「うん……」


深いキス


深い抱擁


細い首筋、綺麗に浮き出た鎖骨、指先で唇で触れていく。


溺れた。


すっかり。


この俺が


この男に


……窒息。


撃沈



「な、日高ってメイって名前だったの?」
「ン……はぁ……、ちが……ァッ」

「だって日高の兄貴が……」

すると日高は俺の頭を引き寄せ、耳元にボソッと囁いた。


「成る程、それでメイ…」
「…呼んだら殺す、嫌なんだ、こんな名前」

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