《MUMEI》

「なんで?可愛い名前なのに」


「……可愛い名前なんて次言ったら泣くからな、これで散々馬鹿にされてきたんだから泣く」



こっそり体を繋げた後、俺から日高のお袋さんに、日高が調子悪そうだと告げた。

するとやはり、ちょっとびっくりしながら部屋に様子を見に向かった。


ベッドに横たわる、すっかりセックスに疲れた日高の様子を見て、お袋さんは本当に具合が悪いと信じて、今日は寝てなさいと言い部屋を出て行った。


ティッシュの山と化したゴミ箱と濡れたシーツは押し入れの中。


ふと窓の外を見れば日高の兄貴と女が制服姿でチャリンコを二人乗りして出発した。



続いて日高の親父さんらしきスーツ姿のおじさんが出て行く。

さっき見かけたエプロン姿のお袋さんが背中にリュックを背負って自転車で居なくなる。

「お袋さん何処行ったんだ?」

「ン〜…パートぉ…」

俺も日高の隣に横になり、はあと息を吐いた。


「まこちゃんは学校電話しなくていーの?」
「う〜ん…、最近サボってなかったから平気だと思う」

「はは、マジかよ…う〜…」
本気で疲れきっているのか日高はそのまま眠ってしまった。




「あ…、名前、漢字聞くの忘れてた……」



ま、いいか。



愛しい存在を腕の中に引き寄せて俺も意識を飛ばす。



目が覚めて



誰もいないのをいいことに



激しく抱いて激しく喘がせた。


股間に響く喘ぎをここ数日ピアス不在の耳元に堪らない程吹き込まれて、とにかく止まらなくて



エンドレス



ひたすら



エンドレス



一時間ごとに悲鳴をあげた日高の携帯は後からみたら全て聖らのメールだった。


まさかダチがダチにボロボロに抱き倒されてるなんて夢にも思わなくて心配してくれたんだろう。


いつの間にか眠っていたらチャイムの音で起こされた。
目を擦りながら窓から見下ろせば聖と長沢の姿。
携帯を見ればすっかり夕方で。

ベッドには涙の跡をつけた、眠り潰れる全裸の日高。


俺は携帯を開きキーを押す。


「……俺、悪い、ホッといて」

はあ?と言う声の聖に思わず笑ってしまって。
「マイ君なら元気だから、心配いらねーから」


と、何気なく日高の名前を吐いて、俺は日高の髪を撫でた。



END

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