《MUMEI》
手中
昭一郎は、結婚する。
眞知子というらしい。
おっとりした女だ。
俺みたいに、狡い目をしていない。
俺みたいなのにもう騙されることは無いだろう。

良かった、
昭一郎が手の届かない所にあれば安心する。

もう、追い掛けるのは疲れるから。



でも、
狡いのは相変わらずだ。

国雄を、俺の興したホストクラブのNo.1に据えてしまうことでまだどこか頭の隅にある昭一郎への未練を断ち切れ無いでいる。



復讐かもしれない。
俺が昭一郎を忘れられないように、国雄が俺を見る度に昭一郎を思い出すようにする為。

……俺にはそんな資格は無いのだが。

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