《MUMEI》
奇妙な違和感
「あの高山君を名前で、しかも呼び捨てで呼ぶなんて、明皇にはいないので、驚きました。

でも、噂に名高い吾妻の姫と

身内のクイーンなら納得です」


「お、おい。柊、去年の合宿で思いっきり名前で呼ばれてたよな?」


俺は目を丸くしたままのサッカー部三人組に確認した。


「相田先生と俊彦さんには確実に呼ばれてたよね?」

守は俺の質問を質問で返してきた。


「俺、風呂場でキングのサイズふざけて確認したりしたけど…」


(そんな事してたのか?!)

拓磨のセクハラ発言に戸惑いつつも、そんな悪ふざけができるほどのスキが柊にあったのは確かだった。


「…ていうか、合宿中は普通の男子高校生だったぞ」


冷静に過去を振り返った真司がまとめた。


「あの、どうかしました?」

「いえ、何も。ご馳走様でした。そろそろ失礼します」


動揺する男四人を尻目に、クイーン・志貴は優雅に微笑むと、立ち上がった。


「あ、ご馳走様でした」

「でした〜」×3


俺達もバタバタとそれに続いた。


(何か、変な感じだな)


俺達より遥かに長く柊に接している人々がヘタレ柊を知らない事実に俺は戸惑っていた。

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