《MUMEI》

「リュート──」

「はい‥」

跪いて俯いていると、アンリ様は何か勘付いたらしく僕を見つめて、

「ひょっとして‥夜だけじゃ足りなくなってる‥?」

そう尋ねてきました。

「───────」

僕は黙るしかありません。

契約の際、血を吸うのは夜だけ、と約束をしたんです。

意識のない間なら、痛みを感じる事はありませんから。

夜アンリ様の部屋に入り──首筋に牙を立てる‥。

それが当たり前になっていました。

ですが、まさか昼間まで血を欲するようになるとは思っていなかったんです──。

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