《MUMEI》 威圧感(今のは… クロさんのカットから点を取られたから、 クロさんのファインプレーに思われるけど、 実際、 今のプレーは猪狩さんのナイスディフェンスからだ。 とてもハンドボールを辞めた人のガタイとは思えないし、 何よりも隙がない。 やばい… めちゃくちゃ上手い… でも、 ユキヒロさんの腰の引け方はあまりにも露骨だ。 あれじゃあパスを読まれるのも無理ない。 けど… 後輩の俺が先輩に… ましてやキャプテンに口出しなんて… できるわけね〜よ…) 椎名は、 赤高のスタメンで唯一の2年生。 未経験者の関谷や日高にアドバイスすることはあったが、 経験者、 先輩、 そしてキャプテンのユキヒロに、 プレーに関して注意することが出来なかった。 「1本行きましょ〜!!」 ボールは赤高。 (とりあえず、 今はフォーメーションで攻めるしかないな…) 負けている個人での勝負を避け、 チームプレーで攻めることを選んだ椎名。 「日高さん!!」 日高がサイド上がりを行うよう指示。 クロや猪狩、翔太のいる左を避け、 千葉や未來、阿久津のいる右を攻める為だ。 猪狩に比べ、 千葉の方が体が出来ていない。 翔太と阿久津の体は同レベル。 クロと未來では、 未來の方がいい若干ガタイをしていたが、 経験から考えてクロの方が未來より上手い。 総合的に見て、 右を攻める方が無難だった。 「クロス!!」 「ポスト入るぞ!!」 日高と峰田のクロス。 そして峰田のロングシュート。 千葉が前に出るが、 峰田のシュートの方が速かった。 「くっ…!!」 「バシッ!!」 恭介がシュートを止める。 が、 弾いただけ。 「ルーズボール!!」 未來がボールを拾う。 速攻は出なかったが、 ボールは猪狩チーム。 … (今のシュート… 弾くので精一杯だった… 特別いいコースって訳でもなかったのに… ギリギリ足が出ただけだった。 あいつのシュートが速かったのもあったけど… 今のは… 俺の反応が遅かった…) 前へ |次へ |
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