《MUMEI》
‐茉莉‐
ウチが声をかけてからそないに経たへん内に──

新木は家から出て来た。

「──どこまで歩く?」

「ぇ、──と、取りあえず‥河原の方にでも行ってみよか」

「──うん」

新木は眩しそうに空を見上げて答えた。

それから

「碧い──」

そない言うた。

ウチがキョトンとすると‥

そそくさと先に立って歩き出した。

その後ろを追いかける。

並びそうな位近付いた所で歩調を緩める。

前に屋上でお弁当食べた時には並んでも平気やったのに‥

この前に海岸でおった時とか今は‥

何か隣りに並び辛い‥。

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