《MUMEI》 菜摘と別れてから── ウチは前に新木と行った河原に来とった。 蝉の声がどこからか聞こえてくる。 川に近付いて‥ そうっと水に手を浸す。 「冷たい──」 ひんやりしてええ気分や──。 せやけど屈み込んだせいで── 「ぁ‥」 帽子が落ちてもうた‥。 「ぅゎ‥アカン‥」 流されてまう‥。 手を伸ばしてみるけど届かへん。 せやけど何べんか繰り返す内に── やっと手が届いた。 その瞬間‥ 「‥ゎ」 重心が思い切り前の方に傾いた。 「‥!」 ≪バシャン‥≫ 前へ |次へ |
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