《MUMEI》

川に落ちたはずやのに‥

水には沈まんかった。

何か‥

支えられとるような感じがある。

「大丈夫‥?」

「‥ぇ‥」

聞き慣れた声。

「‥新‥木‥?」

ゆっくり振り向いたら‥

むっちゃ近くにそいつの顔があった。

「‥何であんたがここに‥」

「──ただの偶然」

「ぇ‥?」

「──立てる?」

「‥ぅ、うん、おーきに‥」

こいつ‥

ずぶ濡れになって‥‥

せやのに‥

何でウチの事‥。

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