《MUMEI》 あいつの姿が見えなくなってから── 僕は溜め息をついた。 別に寂しい訳じゃない。 あいつをあのままここにいさせたら‥ 間違なく風邪を引いてしまうだろうから。 だけど──‥ あの事がなかったら引き止めてたと思う。 かなり勇気がいる事だけど‥ あいつといたいと思うから。 初めは鬱陶しくて‥ 話しかけられてもわざと答えなかった。 そうすればじきに離れていくだろうって。 でもあいつは話しかけるのを止めなかった。 恋文もそう。 返事なんて1度もしてないのに── あいつは毎週届けて来る。 それがだんだん僕を変えてきてるような気がするんだ──。 前へ |次へ |
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