《MUMEI》

「凄い…なんだこれ!」


翼を羽ばたかせながら感動している俺に、


「私は、あらゆる者を自在に変形出来る能力を持っているのです。」


誇らしげにダルクが言った。


「へぇ…。」


「お主はこれから養成所へ通ってもらう。」


「なんですか?それ?」


するとシーフォードの変わりに、
グレイドが答えた。


「お前が人間界で通っていた、学校と似たようなもんだ。」


「はあ…」


「明日から、大丈夫か?」


そう俺に問いただすグレイドに、
シーフォードがまて、
と口を開いた。


「お主の意思を尊重していなかった。
すまぬ………。」


そう言って頭を下げた。


「いえっ…」


慌てて頭を下げると、


「お主は人間界と、この世界どちらがよい?」


少し声のトーンを落とした声が聞こえた。


見上げると、
真剣な表情をしたシーフォードと目が合った。


「お主はどうしたい?」


「え?」


「運命の転機と言うものは、
必然的に現れるものだ。

しかし、それをどうするかは自分次第。

他人に他の運命を決めることは出来ぬ。」


俺はそのシーフォードの言葉に、
迷うことは無かった。

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