《MUMEI》

「1本行きましょ〜!!」


(…この短時間で何回言ったかな。)


試合時間は6分。


一方的な展開であったが、


赤高は攻め手が見つからなかった。


(…やっぱ、
峰田さんのロングしかね〜よな。)


結局、


ノーボールでのクロスからのロングシュート。


打ったのは峰田。


千葉が前に出るが、


やはり追い付かない。


(こいつ速い…
クイックのセンスがあるな…)


ディフェンスを交わした峰田のシュート。


「なっん…」


(何なんだよこいつのシュート…)


「ナイッシュー!!」


峰田のシュートが決まる。


(ようやくか…)


4対1。


「恭介しっかり〜。」


恭介を皮肉るクロ。


「…」


「…?」


(…恭介?)


恭介はクロの言葉に反応しなかった。


(…おかしい。


あいつのシュート、


さっきから…


速いんだけど、


何か、


何つうか…


タイミングが取りづらい…)


誰も気付いてはいなかった。


クロも含めて。


赤高には、


攻め手がない訳ではない。


気付いていないだけ。


突破口はあるということ。


そして、


その答えに近づいているということに。

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