《MUMEI》

何かを覚悟したとき
扉が開いた、
眩しい……!


「千秋様…………!」

なんて、神々しいのでしょうか!


「ありゃ、見つかっちゃったあ。」

千守さん、そう言いながら蝋燭を手放さない。


「千守……、俺のモノで勝手に遊ぶなって言ってるだろ?」

助けに来てくれたんだ千秋様……


「だって珠緒可愛いから火だるまにしたくなっちゃうんだもの、兄さん誕生日近いし軽傷程度に焦がしてラッピングしようかと思ったんだ。あ、でも兄さんみたいに後ろ髪は生やせないんだけど……あれはどうやっているの?」

怖い……火だるまにされてこんがりするところだったのか……


「珠緒の扱いは俺だけしか分からないからな。」

千秋様っ、それは僕の事を理解なさっているという友愛のお言葉ですよね……?


「珠緒の髪に油を塗ったんだ、毛先がじわじわと燃えて悶絶する珠緒のオブジェを作ってびっくりさせるつもりだったのになあ。
僕一人じゃ珠緒の毛、前髪がほんの数センチしか伸ばせなかった。これじゃあすぐ終わっちゃうからつまらないよね。」

千守さん、命終わっちゃいますから!


「……仕方ないな、今度俺がタマをいたぶり続けてやるから。千守は気が済むまで毛先が燃えて悶絶する様を楽しめるだろ?」

千秋様、悶絶どころか死んじゃいます!


「兄さんの意地悪、いたぶり続けるってことは毛が伸び続けるんでしょう……皮膚は焦がさせてくれないんだ。」

焦がすつもりだったのかこの人!


「一瞬の阿鼻叫喚より、永遠の苦痛がタマにはよく似合う。」

千秋様は今までで一番優しげな声色(一般人には不変)でおっしゃられたのに内容が内容なだけあって僕は恐怖で足が……右臑が発毛した。


「そこが解らないんだよね、千秋兄さんも珠緒の燃え盛る様を見たら理解してもらえると思ったんだけどなあ、残念だよ。」

た、助かったんだ僕!


「これは、燃やしてしまうにはまだ遊び足りないからな。」

そんな、千秋様、僕と遊びたいだなんて恐れ多いですよ……!


「僕も珠緒とアバンチュール(火遊び)したいな?」

千守さんの素敵な笑顔の裏には炎がちらつく……。


「飼い主同伴だがな?」


「千秋様……」

感動で涙が出そう。
僕、今まで生きてきて良かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫