《MUMEI》

でもこれでいいのかな‥。

このままこうしていても‥‥

息が詰まるだけで楽にはならない。

「‥‥‥‥‥‥‥」

苦しい‥。

そう思った時にはもう──

ドアノブに手をかけてた。

あいつと会えるとは限らない。

でも──

ずっと部屋にいるよりは増しだと思ったから。

見慣れた風景が続く一本道──

燦々と光の降り注ぐ中を歩く。

でもあまり暑さは感じない。

風があるからかな──‥。

ぼんやりとそう思いながら堤防の方に目を向ける。

「‥‥‥?」

視線の先には──

あいつが海の方を向いて立ってた。

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