《MUMEI》
(私と、そっくり)
周哉の話が終わり、微妙な沈黙が流れていた時、秋穂は周哉の妹のことを考えていた。
(そんなにそっくりだったのかな?ちょっと大げさ過ぎない?あ、でも初めて会ったとき、なんか凄いビックリしてたよね。やっぱり似てるのかな?うーん、どうなんだろう・・・)
秋穂は自分の疑問の答えを考える。
(もしかして、お兄ちゃんと昇君でウソついて、私のことをだまそうとしてるとか?って、そんな訳無いか)
自分の答えを自分で否定した。
(そんな事して何のメリットが有んのよ。もー、私のバカ)
秋穂は人を疑うったり、嘘をつく、という行為を嫌っている。その理由は本人曰わく、
(あんまり気持ちのいい物じゃない)
からだ。
(でも、お兄ちゃんたちがウソをついてないとすると、凄いって言うか、普通に考えて有り得ないよね。今の状況って。自分の義理の兄になった人の亡くなった妹が私とそっくり。本当に驚きだよ)
自分で色々考えている内に秋穂は、見たことの無い"麻耶"に興味を持った。
やがて、学校の校門の前に着いた。
「ねえ、お兄ちゃん」
そこで秋穂は、やっと口を開いた。
「ん?何?」
「後で、麻耶ちゃんの写真見してね」
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