《MUMEI》 「リュート?」 「! はい、何か──」 「ごめんね‥?」 その御言葉にきょとんとすると、アンリ様は俯いてしまいました。 僕は何と声を掛けて良いのかが分からず──次の御言葉を待つしかありません。 「さっき──」 「‥?」 「我慢してたよね──」 「‥すみません」 普段は抑えているつもりでも、血を見てしまうとどうしても‥。 アンリ様はそれに気付いて、心配なさっているようなのです。 僕は少し考えて、ある事を思い付きました。 「少々──御待ち願えますか」 前へ |次へ |
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