薔薇と少女

《MUMEI》薔薇と少女

空白に拡がる空間に存せし者は花と幼女
汝の物を受けるは我が身我が心
訪れるは過去の戒め今の罪

光に覆われた空間に
たった一つの小さなドア

少女が其の先へ進むと
其処に存したのは一輪の花

薔薇は少女に問いかける
ようこそ此処へ
少女は薔薇にこう答える
はじめまして此処へ

薔薇が見たのは夢か現か
少女が見たのは現か夢か

はじめてだけど初めてじゃない
はじめてだけど最初じゃない

何故か逢った一人と一つ

何かによって導かれた

薔薇が見据えるは貴女の瞳
少女が微笑むのは貴方の赫

沈黙だけれど痛くない
沈黙だけれど苦しくない

一人と一つは何かを感じ
一つと一人は心を通わせた

薔薇が問う
どうして此処へ？
少女が問う
貴女もどうして？

薔薇が答える
闇から逃げたから
少女も答える
光に誘われて

薔薇が嘆く
罪を咎める術が無く
少女は迎える
後に私が許す

光を求め、光を得た先に
存在したのは罪と罰

薔薇は光を求めた
少女は罪を許した

私の死を許したまうな
汝の死は報われん

ならば私に教えたまえ
故に光を捨てらんと

薔薇は姿を消しました
少女は薔薇を見送りました

薔薇は囁きます
ありがとう

少女は応えます
汝を許しは私だけ
真の許しは未だ先

薔薇は泣いていました
少女も泣いていました

薔薇は罪人でした
少女は神でした

其のドアの向こうは
とてもあたたかでした

少女はまた
別の部屋を探しに行きます

姿亡き者達の御魂を鎮めに…

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