《MUMEI》 一旦アンリ様から離れて御邸に戻り、幾つか道具を持ち出すと──僕はあの薔薇の所に向かいました。 幾重にも花びらを纏ったその赤い花を切り取ると、ラッピングペーパーで茎を包んでピンク色のリボンを結びました。 それを片手に、アンリ様の元へと戻ります。 「──アンリ様」 跪いて呼び掛けると、俯いていたアンリ様がほんの少し顔を上げました。 そして、目の前に差し出された薔薇に目を輝かせて、ようやく微笑んで下さいました。 「ありがとう」 大事そうに薔薇を受け取ると、甘い芳香にうっとりとしていました。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |