《MUMEI》
‐陸‐
もう来週から新学期が始まる。

またあいつの手紙が机に届くんだと思うと嬉しくて──

来週が待遠しい。

勿論‥

あいつが家に届けて来たこの4週間も嬉しかった。

茹だるような天気の日でさえ‥

あいつは手紙を届けてきた。

3丁目から──

一番遠い僕の家まで。

木曜日‥

郵便受けには必ず封筒が入ってた。

それを見る度に‥

あいつに会いたくなって──

嬉しい反面‥

ちょっと苦しくなって。

受け入れれば楽になるのは分かってる。

でも‥

まだその時は来てない‥。

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