《MUMEI》

ましろには
聞こえなかった。


暗闇の世界での
お父さんとお母さんの
会話


『私、仕事を辞めようと思っているの。』


『えっ、どうして!』


『だって、ましろの誕生日の時だけ、私たちいつも仕事で、ちゃんと祝ってあげてないじゃない。』


『そ、そうだな…。』


『ましろが可哀相よ。せめて今年こそは、ちゃんと祝ってあげたいのよ。』


『そうだよな、分かった。俺もましろの誕生日の時は、必ず速く帰ってくる。』

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