《MUMEI》
空色をバックに、掌に(セーターの袖の長さではっきりとは捉えられないが)顎を乗せてぼんやりと顔を斜め左窓際に向いている。
流れるような柳眉に眼窩の陰りと鼻筋が印象的な横顔だ。
暗がりで差し込む光りが肌に透けていく、
瞳に外の小さな風景が描かれている。
届きそうな距離なのに届かないと感じた、別の次元の歪みで偶然映し出されたのではないかとさえ考えた。
斎藤アラタは、どの角度で覗いても完璧だ。
俺なんかが美しいと一言で形容するなんておこがましい。
抱き留めたはずの右手が痙攣した、もっと触りたいという禁断症状か。
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