《MUMEI》 いつもの柊(それは、大変だな…) 俺が柊に同情していると、俺の携帯が鳴った。 相手は柊だった。 「もしもし」 《あ、祐也?》 「うん」 (俺の携帯だし) 普通は俺しか出ないだろうと思いながらも、ツッコミは入れなかった。 《文化祭、楽しんでる?》 「あぁ、まぁ」 何故か行く先々で、俺と志貴にただで飲食物をくれる人が多く、皆異様に親切だが、それなりに楽しんでいた。 (相変わらず、注目は浴びてるけど) 志貴と真司がいるし、皆浴衣だから仕方ないと諦めて開き直りつつあった。 《あの…さ》 「何?」 《希と、二人で回って、…いい?》 「それが普通だろ?」 元々俺達は、柊と合流したら、さりげなく希先輩と二人きりにしてやろうと話し合っていた。 《でも、祐也とも回りたかったな》 …柊は今、キングからヘタレ乙女モードに切り替わっているようだ。 「よかったら、明日回るか? 演劇部の皆もいるけど」 《う、うん!》 「お前…ここではキングなんだから、気をつけろよ」 《心配してくれるんだ? ありがとう! 大丈夫だよ! ありがとう、祐也》 通話を終えた俺は、激しく不安になった。 前へ |次へ |
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