《MUMEI》

「福岡の気分?」


「おう!今日一日福岡弁で喋っちゃるけん!!」


「…ここ、東京だぞ。」


「うん。」


「浮くだろ。」


俺がそう言うと、賢ちゃんはイ〜と舌を出した。


「そんなもん気にせんでよかと!!」


「…はいはい……。」


そうしてしばらく門の前で駄弁っていると、
突然後頭部をど突かれた。


「誰だ!!」


カッとなって勢い良く振り向くと、
馴染みの顔が目に飛び込んで来た。


「冗談過ぎるぞ。」


「わりぃわりぃ!
で、何の話しをしてたの?」


蓮翔ちゃんの表情には、
反省の表情が微塵も感じられない。


「うわっ賢ちゃん?」


蓮翔ちゃんは、賢ちゃんの姿を見るなり、
驚きの声を上げた。


「カッコいぃ!!」


その言葉に、ガクンと全身の力が抜けた。


「…マジかよ。」


「せやろ?
颯ちゃんは何故か認めてくれんっちゃん!!」


「え〜?
このサングラスなんていい感じじゃん!!」


そう言うと、二人して俺を見やる。


まるで軽蔑するかのような視線だ。

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