《MUMEI》 「今度は何の本借りたん?」 「──推理物。小坂も読む?」 「‥ぇ」 普段滅多に本を読まへんウチは── 新木の言葉に戸惑うてもうた。「ぁ‥えっと‥」 「──はい」 「ぇ‥」 「貸してあげる」 「‥でもそれ、まだ読んでへんのやろ‥?」 「1度は読んであるから」 そない言うて‥ 新木はウチに本を差し出してきた。 ウチが固まってもうてると‥ 新木は半分押しつけるみたいにして本を渡してきた。 「ぇぇっ、ちょ‥っ」 結構分厚い。 「来週までに返してくれればいいから」 「ぁ‥、ぅ、うん‥おーきに‥」 前へ |次へ |
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