《MUMEI》
‐陸‐
小坂は僕が渡した本を抱えたままポカンとしてる。

ちょっと強引だったかな──‥。

でもこれ位しか出来ないから‥

気分転換にでも読んでもらえたらいいなって。

色々してもらうばかりだったし──

何か‥

お礼って言う程の事じゃないけど‥

したいなぁって思って‥。

「──おーきに、な」

「‥?」

「貸してくれて──おーきに」

「──うん」

良かった。

少しでも──

喜んでもらえてるなら嬉しい。

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