《MUMEI》 「よう、久しぶり」 まるで仲の良い友人であるかのように振る舞いながら、ユウゴは二人の肩を抱き、人が来ないような狭く汚い路地へと誘導した。 「な、なんだよ。あんた、誰だ?」 男がユウゴの顔を見て、すぐに女へと視線を移す。 「おまえの知り合いか?」 女は不思議そうに首を横に振る。 「知らない」 その言葉を聞いた男は、肩に置かれたユウゴの手を振りほどいた。 「おまえ、誰だよ」 男は警戒した視線をユウゴに向けた。 ユウゴはフッと笑みを浮かべて自分の背中に手を回す。 そしてシャツとジーパンの間にはさんでいた銃を取り出し、二人に向ける。 「なっ……!」 男は目を見開いて一歩後ろへ下がった。 「なんだよ、それ。エアガンか? 悪い冗談よせよ」 「冗談? だったらいいけどな」 言ってユウゴは帽子を少し上げて自分の顔を見せた。 男は一瞬怪訝な表情をしたが、すぐに思い出したのか、その表情を凍らせた。 同じくユウゴに気付いた女は悲鳴をあげようと口を開く。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |