《MUMEI》

「よう、久しぶり」
まるで仲の良い友人であるかのように振る舞いながら、ユウゴは二人の肩を抱き、人が来ないような狭く汚い路地へと誘導した。
「な、なんだよ。あんた、誰だ?」
男がユウゴの顔を見て、すぐに女へと視線を移す。
「おまえの知り合いか?」
女は不思議そうに首を横に振る。
「知らない」
その言葉を聞いた男は、肩に置かれたユウゴの手を振りほどいた。
「おまえ、誰だよ」
男は警戒した視線をユウゴに向けた。
ユウゴはフッと笑みを浮かべて自分の背中に手を回す。
そしてシャツとジーパンの間にはさんでいた銃を取り出し、二人に向ける。
「なっ……!」
男は目を見開いて一歩後ろへ下がった。
「なんだよ、それ。エアガンか? 悪い冗談よせよ」
「冗談? だったらいいけどな」
言ってユウゴは帽子を少し上げて自分の顔を見せた。
男は一瞬怪訝な表情をしたが、すぐに思い出したのか、その表情を凍らせた。
同じくユウゴに気付いた女は悲鳴をあげようと口を開く。

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