《MUMEI》

足を止めることなく歩き続けながら、ユウゴは財布の中身を確認した。
紙幣と小銭を全て抜き取ると、コンビニの前に設置されてあるごみ箱へ財布を投げ捨てる。
「これで少しはもつかな」
ユウゴは言いながらコンビニでおむすびを買って歩きながら平らげた。
少しすると、どこからか甲高いサイレンが響いてきた。
ユウゴは反射的に後ろを振り向き、大きく舌打ちをする。
きっとさっきの二人が通報したのだろう。

もう少し強く殴っておけばよかった。
いや、殺しておけばよかっただろうか。

歩き続けながらユウゴは首を振った。

だめだ。
弾を無駄遣いはできない。
奴らからやっと手に入れた貴重な武器だ。
使う時は選ばなければならない。
これまで使っていたナイフはもうボロボロでいつ折れてもおかしくない。
くだらないことに使ってはいられないのだ。
早く何か他に武器になるものを手に入れなければならない。

ユウゴがそう考えていた時、周りを歩いていた人たちがざわつき始めた。

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