《MUMEI》

パイをオーブンに入れて──

出来上がった御料理をテーブルに運びます。

フォークとスプーン、ナイフを順に置くと、パンとメインディッシュ、サラダを並べて、一度スープを取りにキッチンへと戻りました。

再び広間へ来ると、アンリ様が既に席に着いて待ち兼ねていた様子でいらっしゃったので、直ぐにスープのカップを置いて差し上げました。

「すみません、御待たせしてしまって──」

頭を下げると、アンリ様はクスリと笑って、

「ううん、気にしないで」

穏やかな口調でそう仰って下さいました。

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