《MUMEI》

「なぁ──」

「ん‥?」

「新木は何で本が好きなん?」

「───────」

言わなきゃ駄目‥

かな‥。

「ぁ、む‥無理して言わんかてええよ‥? ‥ごめんな、嫌な事訊いてもうて‥」

「‥いや、別に気にしてないから」

なるべく平静を装ってみたつもりだけど──

小坂の目は誤魔化せなかったらしい。

俯いて‥

僕が渡した本を抱き締めるみたいに抱えて黙り込んでる。

「‥‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

気まずい。

せっかく少しは話せるようになって‥

打ち解け始めてたのにな──‥。

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