《MUMEI》
赤い空
見渡すかぎり暗闇で、まばらにある民家の灯りは、全て消えている。

皆寝てしまっているのだろうか?

これでは人に出会える可能性が低い。


為す術がなく、立ち尽くす事しかできない貴士。

ポツポツと建っている薄暗い街灯が、唯一の救いだ。

その虚しい光をただ呆然と見る。


「あれは…何だ?」

見ていた街灯の奥の空が、みるみる内に赤く染まっていく。


あそこに一体何があるか?
それは分からないが、こうしてただ立ち尽くしているわけにはいかない。

もしかしたら、誰かいるかもしれない。


僅かに見えた希望を抱え、貴士は赤い空を目指して駆け出した。

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