《MUMEI》
愛なんて
行為が終わると二人は、ぐったりとしたがお互いにクスリと微笑んだ。
 
 さっきの冷酷な野蛮人だった悠也が優しい、あどけない顔に戻って、どきどきした。
 
互いにまだ余韻が残るべたべたな体をスポンジで、丁寧に泡立てて洗いあった。
 こうしてると本当の恋人のような錯覚を起こして、目眩がした。

 体を洗い終えて、バスタオルで体を拭き、私達はベットに滑りこんだ。

 ベットの中でも悠也は、恋人のようにあたしの頭を撫でて髪を漉いた。その眼差しは、少年のようにかわいい。
 
そうして顔を引き寄せて、唇を重ねてきた。
 悠也の舌がねっとりと絡みついてきた。あたしも夢中で悠也の舌に反応して自分の舌を絡みつかせた。
 

熱を帯びた甘い甘いキス。
「優しいのね」
「えっ?」
思わずあたしは、呟いた。
 情事が終わるなり、いきなり背中を向けて煙草なんか吹かして、興味なさそうに「よかった?」
なんて蔑まれてたほうがマシだと思った。こんなに甘ったるい恋人ごっこをされるとあたしの衝動は、操作不可能になってしまう。

 愛なんて。
 
制御不能で、わがままで。
 傷つけて、傷つけられて。

 壊れて、壊されて。
 どちらか飽きてしまったら跡形も無く消えてしまう。

 甘美で、残酷で。
 
 愛なんて。
 
 愛なんていらない。
 一瞬のぬくもりと偽りのSEX。それだけでいい。 

 

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