《MUMEI》
亜紀
「最近、肌調子いいんじゃない?何かあったの?」
「何、言ってるのよ」
「嘘、なんかあったでしょ。アタシの目は誤魔化せないんだからね。白状しなさい!」
「何にもないって。それより、亜紀、年下の彼氏とは最近どう?うまくいってんの?」

待ってましたとばかりに亜紀の頬は、ぱっと薔薇色になった。

「ウフフ・・・。やっぱ、年下はいいわぁ、若いって素晴らしい!!」


大はしゃぎで、両手をクロスして顔を横に傾ける亜紀は、乙女そのものだ、と言えば聞こえがいいがはっきり言ってイカれてる。
 
でも、亜紀が恋愛ごっこを楽しんでいる時は、肌つやもいいし、ほんとうに「女」を満喫していて可愛らしい。
 
 別に旦那と不仲という訳ではない。むしろ亜紀は、旦那にとても愛されている。
 
確かに亜紀は、ちょっと色っぽいし、男ウケするタイプで、昔からよくモテていた。

恋愛は趣味と本能だそうだ。

「ねえ、それよりさ。里沙さ、孝史の友達・・・悠也君?だっけ。その子といつの間にか消えたでしょ!どうしたの?コラ、答えなさいよッ」
「なあんにも、ただ、ご飯食べただけ」 
さりげなく、平静を装った。
「ホントに?それだけ?」
「本当だよ」
「ちゃんと、孝史に聞けばわかるんだからね」
しまった。そのルートがあったんだ、と思ったがとても話せる気になれなかった。あんな熱帯夜みたいな行きずり行為を愛とか恋愛とか言えないし、楽しんで味わった。遊んでやったんだ・・・というのも違う気がした。

 
時々ふとした瞬間に思い出す。
 あの激しい情事の夜。鏡越しに繋がってた二人。悠也の大人びた顔。綺麗な鳶色の眼。
 
何度も何度も反芻しては、胸の苦しさを覚える数日をあたしは、過ごしていた。
 

たかが、二十六のちょっと綺麗な小僧にいったいあたしは、何を期待しているのだろうか。
悠也は、理由は知らないが人妻と後腐れのない、エッチがしたかっただけなのだ。
 

あたしも同じ気持ちだった筈だ。だけど遊び慣れてるのか悠也との情事は、刺激的だった。元旦那の儀式的なそれとは違ってた。自分がただのメスでオンナだと思い知らされたそんな情事だった。長いことそんな感情忘れていた。
 
三十三にして恥ずかしいけど砂漠のような状態だった。悠也は、そんなあたしに潤いをくれたのだ。
 
 正直言うと亜紀の男癖の悪さには、軽蔑していた所もあった。だけど、解っていなかったのは、私の方だった。亜紀は、自分に素直で可愛い。フェロモンも出ているし、あたしが男だったらきっと求めたくなる女だろう。

「亜紀、孝史君のHってどんな感じなの?」
「めちゃめちゃ、イイよ」
「孝史君のって・・・大きいの?」
「そうだねー、普通かな。でも激しいし、終わった後とか甘いかな・・・可愛いのよ、って何言わしてるのよッ」

そういって、あたしの腕を小突いてる亜紀の顔。喜色満面で幸せそうだ

「あたしも恋したいな・・・」
「したらいい!おおいに恋したらいい!傷つくとか考えないでさ」 
「そうだね、亜紀・・・」 

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