《MUMEI》

「ん〜」


意外だったらしい。


賢ちゃんは、久し振りに出会った自分が俺と蓮翔ちゃんに学校をサボるように言えば、
直ぐに承諾すると思っていた。


だが、俺達は断固拒否。


今はどうしたら良いものか、
腕組みをして考えこんじまっている。


「やっぱ無理?」


「無理だ。」


俺達は校舎へ体を向けた。


「じゃあさ、いつ学校終わると?」


肩ごしから聞こえる賢ちゃんの声は、
少し弱々しかった。


そこで、あーと、
蓮翔ちゃんが呻いた。


「学校終わる頃にまたここに来るんだろ?」


「おう!」


「俺は昨日試合だったからオフなんだけど……。」


そう言ってチラッと俺を見やった。


「颯ちゃんが……。」


「ん?
颯ちゃん放課後何かあると?」


「ああ、練習。
賢ちゃんは無いのか?」


「うん。
昨日の夜にここに着いたから、
まだ時差ボケが残っとぅっちゃん。

まあ、それはチームメイトがやけどな。

そんで今日は休み!」


「ふーん…。」


「そんじゃ、颯ちゃんの練習が終わってから会えん?」


まあ、それならいいな。


蓮翔ちゃんもこれには同意のようだ。


賢ちゃんは、俺達の様子を伺うと、


「そんじゃな!」


満足そうにさっさと歩いて行ってしまった。


「ホント、勝手な奴。」


「そうだな。」


俺達は苦笑しながら校舎へと向かうのだった。

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