《MUMEI》
出会い 2
しばし呆然とドアの前で佇んでいると、後ろから声が聞こえた。
「あの…。」
振り向いた弘一の目の中に、一人の女性が映った。
少し目の釣り上がった、かわいいと言うよりは綺麗な感じの女性だった。髪は背中の辺りまで伸びていて、日本人らしい黒髪だった。円く弧を描いた眉に、少し釣り上がった目、筋の通った鼻、厚みがあるが少し控えめな唇、全てのバランスが取れた彫刻の様な顔だった。
不意に現れた美女に、弘一は見とれてしまった。彼女はもう一度言った。
「あのっ…。通れないんですけど。」
はっとした弘一は、その場から横にずれて彼女を通した。心臓の高鳴りが続いていた。

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