《MUMEI》

目的を終えた後──僕はまだアンリ様の御側に居ました。

「‥‥‥‥‥‥‥」

何故でしょう‥。

僕はなかなか御側を離れる事が出来ません。

格別、血を欲している訳では無いのに。

ならば、何故‥?

安らかな表情を浮かべて御眠りになるアンリ様。

僕は無意識に、アンリ様の頬に顔を近けていました。

その瞬間、閉じられていた二重の瞼が微かに動いた事に気付いた僕は、とっさに身を引きました。

ですがアンリ様が御目覚めになる事は無く、安堵した僕は再びアンリ様を見つめていました。

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