《MUMEI》
猫の悩み
今日は朝から清々しい!
天気も良いから尚更清々しい。

俺にはこんな日は週に二回ある。





「日高はよ〜」
「ぉはよ…」
机に突っ伏したまま日高は小さく答えた。
何故潰れているか良〜く分かってる。
昨日は誠のバイトが無い日。
そんな日はホテルに引っ張られて朝まで離してもらえないらしい。
せめて水分だけでもとりたいのにひたすら飲まず食わずでヤラれるらしいからそんな次の日は酷い顔をして出てくる。
つか、ただでさえ痩せているのに誠と付き合いだしてから更に痩せた。

「な〜。サンドイッチ食べる?いつもの如くちょっと賞味期限切れてるけど」
「…たべる〜…」
むくりと顔を上げた日高。目を擦って欠伸してう〜んと伸びた。
目、赤い、腫れてる。
…また泣かされたな、うん。
袋から出して、はいって渡す。タマゴサンドは日高の好物。俺はハムが好きだからハムは俺が食べる。
「なー、ちょっと手加減してもらえよ、この前の考査だってちょっとヤバかったじゃん」

赤点ではないものの全体的に芳しくない点数で日高はえらい落ち込んでいた。
あまり成績が良くないと来年違うクラスになってしまうし、なによりもクラスによって受験対策も授業内容も変わるから一応それなりの大学を目指している日高にとってかなりヤバイ事だったのだ。

「だって…なんか言いづらいんだもん、その……、好きだって言われたら、拒めねーっつうか、は〜…、もうどうしよう」
最近寝癖のない髪を掻きむしりまた机に突っ伏した。

半分しか手をつけていないサンドイッチ。マジで顔色悪いし。
俺は日高からそっと離れ教室を出た。

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