《MUMEI》

「ぉ‥、おーきにな、手伝うてくれて──」

そう言うたけど、新木は何でか何も言わんと俯いて黙ってた。

ただ──

ちょっぴり照れとるような感じがして‥

可愛いなぁて思た。

新木のこんな表情を見たんは初めてや。

「───────」

思わず見とれてもうてた。

ほしたら号令がかかって──

ウチらはラッピングしたクッキーを段ボール箱に詰めて教室に持って行く。

途中で転びそうになったけど──

新木が箱を支えてくれたから助かった。

『おーきに』て言うたら‥

新木はまた照れたみたいに俯いた。

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