《MUMEI》
戦国時代な決闘
それは雨上がりの曇り空の下の、二人の男の果たし合い。

名もない剣士が己がために剣を取り、相手を見据える。

片方は黒髪で短髪の、しっかりとした体つきの男だ。構える獲物も普通のものに比べて大きい、野太刀を持っている。

それに相対する男は長髪で、どことなく頼りない雰囲気のする細身。手に持つ武器はすらりと細く短い、刀だ。

長髪の男が口を開く。

「アンタ、オレに何の用だ? アンタみたいな厳つい奴に恨まれる覚えは無いんだが…?」

短髪の男はその問いに答えた。

「お前には昔、友人を切られた。その仇討ちだ」

そう言うが、しかし表情は変わらずに冷たいままだ。

「はっ、笑わせる…。アンタがオレに勝てると思ってんのか?」

長髪の男は自嘲気味に笑い、刀を引いて構える。どうやら引き構えのようだ。

短髪の男は剣道のように中段で構える。

最初のようにまた睨み合い、たがいの間合いをジリジリと詰めていく。

一陣の風が吹き、二人は飛び出した。

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