《MUMEI》 ギン、と金属の擦れる音。初撃はお互い受け止め鍔迫り合いになった。こうなれば野太刀の方が重みがある分有利だ。 短髪の男は自身の体重も乗せ、相手を全力で押しつぶしにかかる。 しかし押される方も黙っちゃいない。 自分にかかってくる力をうまく流し、短髪の男の左に出る。 相手が刀を振り上げた瞬間に地面に向かっていた太刀を放し、その振り上げた腕を掴む。 長髪の男は掴まれた腕を離そうと抵抗するが、力負けして離せない。 が、すぐに思考を切り替えて腹に蹴りを入れた。 それで短髪の男は怯み手を放し、後ろに下がるが武器がないなりに構え直す。 絶体絶命の状況だが、彼は動じない。 それを見て相手はまずいと考えたのだろう、距離を取るために後ろに下がった。 狙っていたかは分からないが、短髪の男は足下の太刀を取ると同時に駆け出し、一気に間合いを詰めて切りかかる。 だが長髪の男は落ち着いてその攻撃を見切り、ヒョイと右に避けた。 そしてまた後ろに下がる。しかし彼は追い掛けなかった。 「アンタ、めんどくせぇヤツだな…」 長髪の男はそう呟いた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |