《MUMEI》
‐茉莉‐
『──何か‥買って来るから』

新木はそない言うて‥

急に体育館からいーひんくなってもうた。

ていうかウチ‥

何でこないな時にお腹空いてもうてんやろ‥。

それよりも──‥

あいつ人込み苦手やのに大丈夫やろか‥。

最近ウチはあいつに何かしてもろてるばかりやな‥。

手伝うてもろたり──

助けてもろたり──‥。

「──お待たせ」

「‥ぁ」

目の前にはカップケーキ。

しかも‥

「苺の‥?」

「近くで売ってたから。小坂、苺のお菓子好きだって言ってたし──」

そう言いながら──

新木はまたウチの隣りに座った。

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